Classici giapponesi con furigana
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しんしょたいこうき
新書太閤記
吉川 英治
Leggi 新書太閤記 (しんしょたいこうき) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 176.911 caratteri · 353 schermate
友松は、大きくうなずいた。手の杯を置きわすれて。
絃は鳴りはじめた。秘妙な音階が十三の絃からかぎりない変化を織り、またひとつの正しい響音に統一され、突として崩れ、みだれ、相寄り、相離れ、ときには、坐しているまま、波濤のそこへでも沈んで行くかのようなものにつつまれるかとおもうと、明るいこと、かがやきみつること、天界のようなところへ、心をもってゆかれもする――
(長く、極まりない文化の変転、また興亡の幾かわりや、人それぞれの運命の、ときには盛り、ときには沈み、悲嘆し、歓喜し、遊戯し、争闘する、その相を音階にしたようなものではある。雨の音、風の声、鳥の鳴く音、虫のすだき。自然の声あるものの声もみんなこの中にはある。さてさて、不可思議な……)
何の秘曲やら友松にはわからない。音楽的な知識はない。しかし眼をとじていると、そう感じてくるものの万象が、まぼろしのように脳裡を去来するのだった。
そのとき、夢みる人々を、たたき起すように、庵の柴垣の外で、何やら人声がし出した。あきらかに、馬蹄の止まった物音もした。それからつづいて、
「もの申す。もの申す。松琴尼どののお住居は、こなたでござるか」