Classici giapponesi con furigana
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しんしょたいこうき
新書太閤記
吉川 英治
Leggi 新書太閤記 (しんしょたいこうき) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 176.911 caratteri · 353 schermate
去年から、浪華の地をきりひらいて、大坂築城の大工事にかからせ、その規模、その結構の雄大なること、前古にないと、天下の耳目をおどろかせているものの、かれ自身の、人間的な愉楽は、そこの金殿玉楼よりも、案外、こんなところにあった。
小さい頃、叱られ叱られ、母に背なかを洗ってもらった尾張中村の故郷の家が、ふと、なつかしくなるのであろう。
「おい。たれかおるか」
幕の外へ、声をかけると、湯浴みの間も、槍をならべて、外を守っている武者のひとりが、答えて、顔だけ中へ見せた。
「何ぞ、御用ですか」
「うム、いくらこすっても、垢が出るぞい。於通をよべ、於通を。――背なかを洗わすのじゃ」
小姓のする役であろうが、特に秀吉がいうので、於通は、やがて呼ばれて来た。
「おお、於通か。背なかを流してくれい、こっちへ、はいって」
いくらかの女がまだ何も知らない乙女でも、四十九歳の秀吉は、男ざかりの男である。――いいつけても、或いは、羞じらいして、ためらうかと思っていると、於通は、
「はい」
と、すぐ赤裸の秀吉のうしろへ廻って、かれの背をごしごしこすり始めた。秀吉は、体をまかせて、背といわず、腕といわず、足のさきまで洗わせた。