Classici giapponesi con furigana
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しんしょたいこうき
新書太閤記
吉川 英治
Leggi 新書太閤記 (しんしょたいこうき) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 176.911 caratteri · 353 schermate
「な、なぜでござります。どうして、お家を見捨て遊ばすのでございますか」
綿々というのは、甚内を小さい時から育てて来た婆あやであった。彼女はなお、
「ご、ご先祖様にたいしても、そ、そのような、大不孝なことが、ござりますものか」
と、脇坂家の先祖に代って、自分が叱るように、袂をかんで歎いた。
一同の涙を見ながら、甚内も負けずにぽろぽろ泣いていた。声を揚げないばかりである。
「婆あやよ。まったく、わしほど大不孝者はない。――が、既にしてしもうたしくじりじゃ、きのうを責めるな。また、今日これから甚内の向う戦も、主命を俟たぬ勝手の振舞いじゃ。あわれや、この大不孝者の立場は――行いて勝つも滅び、戦って負くれば滅び、いずれにしても、家名は到底保ち難いことになりおった。それゆえに、おまえたち、何の科ない者は、各※(二の字点、1-2-22)、郷里に帰って、いのちを守れと申すのじゃ。……わかったか。わしの心が」
「わかりませぬ」
おはしたの若い女がいった。
「そう仰っしゃって下されば下さるほど、何で、旦那様がたばかりを、お見送りできましょう。わらべや、お年よりは残しても、わたくしたちは、おつれ下さいませ」