Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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しんしょたいこうき

新書太閤記

吉川 英治

Leggi 新書太閤記 (しんしょたいこうき) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 176.911 caratteri · 353 schermate

Aozora Bunko

「――また描いてやるからな。きょうはゆるせ。これは、おまえらには、やれないのだよ」

「どうして。どうしてさ」

「子どもには、つまらない絵だからさ」

「つまらなくッてもいいよ。くんなよ、おじさん」

「やれん、やれん。帰る子は、いい子だぞ。おとなしく帰る子には、また好きな絵を描いてやろう」

「じゃあ、その絵、たれにやるの」

「あそこのお人へ」

と、友松はあなたの柴折門を、手にある紙の巻いたのでさした。

「なアんだ、禅尼さんにやるのか。……」

と、子どもらは一せいに云った。すこし嘲弄めいた笑クボをそろえ、

「おじさんは、尼さんにばかり描いてやるんだぜ。ちぇッ、つまんねえや」

あきらめて、子どもたちは、もとの道へ散っていった。友松のあかるい笑い顔が見送っていた。組しやすい風貌の持ち主と見えるせいか、子どもたちによくからかわれるので、すさまじい世の中に、家もなく、身を守る何ものもない彼ではあったが、漂泊の行く先々にも、何か、知己はあるという心だけは失われずにある。

知己は、あなたの柴折門の内にもあった。彼がこの里に足をとめてから、ふと知りおうた若い禅尼だった。

「おいでですか」