Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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しんしょたいこうき

新書太閤記

吉川 英治

Leggi 新書太閤記 (しんしょたいこうき) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 187.757 caratteri · 375 schermate

Aozora Bunko

かく闘うこと六、七回。

寄手はすでに二百以上の死者を出した。陽は烈々、中天に午刻の近きを思わせ、鎧甲の鮮血も忽ち乾いて、漆の刎ねのような黒光りを見せている。

馬簾の下にも、いまは十人ほどしか残っていない。爛々たるお互いの眼は、相見て、相見えぬ眼ざしだった。籠手、乱髪、膝がしら、満足な五肢を持つ者はひとりもない。――と、そのとき、

「あっ……」

一矢、勝助の肩に立った。

木蔭に弓をつがえて、勝助を射たものは、小川佐平次の家来、大塚彦兵衛だった。

「ちいッ」

と、勝助は籠手に流るる鮮血を見ながら、肩に立ったその矢を、わが手で引き抜いた。そして矢の来た方をきっと振向いた。

ざざざ――と彼方の笹むらを、猪の分けて来るように、兜の鉢金だけが、笹波の中に、幾つとなく、近づいて来る。

「のう。これまでではないか」

勝助はなお、残るわずかな戦友へ、こう静かにいうだけの余裕を持っていた。

「闘い去り闘い来り、思いのこすところはない。面々も、よい敵を選んで、華やかに名を遂げ給え。まず、勝助より御名代の討死を遂げん。いやしくも、御馬印を伏せず、高々と持ち、まんまるとなって、続かれい」