Classici giapponesi con furigana
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しんしょたいこうき
新書太閤記
吉川 英治
Leggi 新書太閤記 (しんしょたいこうき) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 187.757 caratteri · 375 schermate
府中城の大手に向って、奔河の羽柴勢は、鶴翼のひらきを示した。そしてただ千瓢の馬印だけが、しばらく動かずにあった。
そのとき、城の総構えが、ぱっと硝煙を吐いた。とたんに、つるべ撃ちの銃声である。
秀吉は、秀政へ、
「久太郎、もすこし、後へ退けい、後へ」
と、兵の後退を命じた。
そして、また、
「兵を展くな、陣形を取らず、一所にまとめ、まんまると、無態の態にもどせ」
と、備えを変えさせた。いや、備えをなくさせたのである。
先手の兵が、射程距離の外へ退がったので、自然、城方の鉄砲もやんだ。が、相互の戦気は、まさに、一触即発の寸前にあるかに見えた。
「たれぞ、馬印を持って筑前の行く前を、十間ばかり隔てて、真ッすぐに先へ駈けよ。――口取りは、無用じゃ、秀吉ひとりして、これより城中へ参るほどに」
前もって、誰へ意中を告げるでもなかった。彼は不意に馬上からこう云い出したのだ。そして、諸将の愕然と噪ぐ顔を、事もなげに見捨てて、すぐトコトコとひとり駒を進め、大手の城際へ向って行く。
「しばらくっ。――お先に立ちますれば、しばらくお待ちを」
のめるように、それを追いかけた一士が、辛くも、十間ほど先へ越して、命じられた馬印をかざして駈けると、忽ち、その金瓢へ向って、数発の弾丸が飛んで来た。