Classici giapponesi con furigana
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しんぱん ほうろうき
新版 放浪記
林 芙美子
Leggi 新版 放浪記 (しんぱん ほうろうき) di 林 芙美子 (はやしふみこ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 247.330 caratteri · 497 schermate
私もそんな事を訊くのは胸が痛くなるのだ。二人共だまって、電車から降りると、青い海を見はらしながら丘へ出てみた。
「久し振りよ、海を見るのは……」
「寒いけれど、いいわね海は……」
「いいとも、こんなに男らしい海を見ていると、裸になって飛びこんでみたいわね。まるで青い色がとけてるようじゃないの。」
「ほんと! おっかないわ……」
ネクタイをひらひらさせた二人の西洋人が雁木に腰をかけて波の荒い景色にみいっていた。
「ホテルってあすこよ!」
目のはやい君ちゃんがみつけたのは、白い家鴨の小屋のような小さな酒場だった。二階の歪んだ窓には汚点だらけな毛布が太陽にてらされている。
「かえりましょうよ!」
「ホテルってこんなの……」
朱色の着物を着た可愛らしい女が、ホテルのポーチで黒い犬をあやして一人でキャッキャッと笑っていた。
「がっかりした……」
二人共又押し沈黙って向うの寒い茫漠とした海を見ている。烏になりたい。小さいカバンでもさげて旅をするといいだろうと思う。君ちゃんの日本風なひさし髪が風に吹かれていて、雪の降る日の柳のようにいじらしく見えた。
(十二月×日)
風が鳴る白い空だ!