Classici giapponesi con furigana
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しんぱん ほうろうき
新版 放浪記
林 芙美子
Leggi 新版 放浪記 (しんぱん ほうろうき) di 林 芙美子 (はやしふみこ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 247.330 caratteri · 497 schermate
」
京都はいい街だ。夜霧がいっぱいたちこめた向うの立樹のところで、夜鳥が鳴いている。――下加茂のお夏さんの家の前が丁度交番になっていて、赤い燈火がついていた。門の吊燈籠の下をくぐって、そっと二階へ上ると、遠くの寺でゆっくり鐘を打つのが響いて来る。メンドウな話をくどくどするより沈黙っていましょう……お夏さんが火を取りに階下に降りて行くと、私は窓に凭れて、しみじみと大きいあくびをした。
*
(七月×日)
丘の上に松の木が一本
その松の木の下で
じっと空を見ていた私です。
真蒼い空に老松の葉が
針のように光っていました
ああ何と云う生きる事のむずかしさ
食べる事のむずかしさ。
そこで私は
貧しい袂を胸にあわせて
古里にいた頃の
あのなつかしい童心で
コトコト松の幹を叩いてみました。
この老松の詩をふっと思い出すと、とても淋しくて、黒ずんだ緑の木立ちの間を、私はむやみに歩くのだ。――久し振りに、私の胸にエプロンもない。白粉もうすい。日傘をくるくる廻しながら、私は古里を思い出し、丘のあの老松の木を思い浮べた。――下宿にかえってくると、男の部屋には、大きな本箱が置いてあった。