Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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しんぱん ほうろうき

新版 放浪記

林 芙美子

Leggi 新版 放浪記 (しんぱん ほうろうき) di 林 芙美子 (はやしふみこ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 247.330 caratteri · 497 schermate

Aozora Bunko

その労働者はいたって朗かだった。私の前には、御飯にごった煮にお新香が運ばれてきた。まことに貧しき山海の珍味である。合計十二銭也を払って、のれんを出ると、どうもありがとうと女中さんが云ってくれる。お茶をたらふく呑んで、朝のあいさつを交わして、十二銭なのだ。どんづまりの世界は、光明と紙一重で、ほんとに朗かだと思う。だけど、あの四十近い労働者の事を思うと、これは又、十銭玉一ツで、失望、どんぞこ、墜落との紙一重なのではないだろうか――。

お母さんだけでも東京へ来てくれれば、何とかどうにか働きようもあるのだけれど……沈むだけ沈んでチンボツしてしまった私は難破船のようなものだ。飛沫がかかるどころではない、ザンブザンブ潮水を呑んで、結局私も昨夜の淫売婦と、そう変った考えも持っていやしない。あの女は三十すぎていたかも知れない。私がもしも男だったら、あのまま一直線にあの夜の女に溺れてしまって、今朝はもう二人で死ぬる話でもしていたかもしれない。

昼から荷物を宿屋にあずけて、神田の職業紹介所に行ってみる。

どこへ行っても砂原のように寥々とした思いをするので、私は胸がつまった。