Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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めいじびじんでん

新編 近代美人伝 (上)

長谷川 時雨

Leggi 新編 近代美人伝 (上) (めいじびじんでん) di 長谷川 時雨 (はせがわしぐれ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 129.076 caratteri · 256 schermate

Aozora Bunko

この女も意気の女だった。何もかも振りおとして、重荷をはらってしまおうと思うと、慾も徳も考えない気短な、煩さがりやの、金銭に恬淡な感情家なのだった。わたしは、自分にも、共通の弱点のあることを考えてほほえんだ。痛快にも思った。

人はあるいはいうかも知れない。些細な感情などに動かされて、利害を忘れ、長き後の悔を残すと――けれど、もしそういう人があったならば、わたしは誇らしく面をあげていうであろう。冷徹な理性の人にも失敗はある。感情に激しやすくっても失敗はある。いずれが是、いずれが非と誰れが定められよう。感情の複雑な人ほど、美人は人間的の美をますと――

彼女は白い手に銀の小刀をとった。赤い柿の皮が細く綺麗につながってゆく。エメラルドは指に碧く、思出は彼女の頭の中をくるくると赤く、まざまざと巻返えされていると見える。彼女の眼の色は早春の朝のように澄んで冷たく、初夏の宵の、明星のように瞳は熱っぽく輝いた。

「わたしに残して下さった遺産は七万円からあったのです。それから三人の子供をわたしの子にしていたのです。そうして残されたものが、わたしのものではないように、他人がとやこういって、肝心のわたしが頭をさげて利息をすこしばかり貰いにゆくという、おかしな事がありましょうか?」