Classici giapponesi con furigana
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いちかわくめはち
新編 近代美人伝 (下)
長谷川 時雨
Leggi 新編 近代美人伝 (下) (いちかわくめはち) di 長谷川 時雨 (はせがわしぐれ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 138.172 caratteri · 277 schermate
モルガンが乗っていたのは、あの、多くの人が怨みを乗せて沈んだルシタニヤ号だった。どうも汽船ではあぶないという予感から、ジブラルターで上陸し、一日の差で、潜航水雷の災難からは逃れたが、どうしても死の道であったのか、途中スペインのセヴレイまで来ながら、急病で逝ってしまった。
それからのお雪は、異郷で、たった一人なのだ。
――来年あたり帰りたいが、一人旅で、言葉も不自由だというおとずれが、故郷へあったと聞いている。
それがもとでの間違いであろうが、祇園町にいた老女が、東京のあるところへ来て、
「お雪さんが帰って来てなさるそうや。昔の学生さんのお友達で、留学してやはった、大学の教師さんと夫婦になって――」
それは、誤伝の誤伝だった。あちらに長くいて、映画では東郷大将に扮したという永瀬画伯が、お雪さんだと思って結婚したとかいう婦人と、久しぶりで帰郷したことの間違いだった。その婦人は十歳位からフランスで育ち、ある外国人の未亡人で、女の児がある浅黒い堂々とした女だということだ。
お雪は、パリの家に、ニースにただ一人だ。いえ、ニースでは、イタリア人が一緒だったというものもあるが、モルガンのない日のお雪は、孤独だといえもしよう。