Classici giapponesi con furigana
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いちかわくめはち
新編 近代美人伝 (下)
長谷川 時雨
Leggi 新編 近代美人伝 (下) (いちかわくめはち) di 長谷川 時雨 (はせがわしぐれ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 138.172 caratteri · 277 schermate
清子の大好きな草花のさまざまな種類が、植えられたり種を播かれたりした。
「まあ、あなたが、そんな事して下さるようになったわね。」
と清子がいうように、泡鳴氏が土をいじっていることがある。文壇の交友たちの話をきくことも多くなって、清子も小説を書こうと思いたったりしはじめた。
一ツ石鹸箱をもって、連立って洗湯にゆくことも、この二人にはめずらしくはなかった。男湯の方で、水野葉舟や戸川秋骨氏と大声で話合っているのを、清子は女湯の浴槽につかってのどかにきいていることもあった。今日も、一足おくれて帰ってくると、家のなかで女の声がしていた。
「いま現金がないから、そのうち金のある時に返すといっているのに。肯かないのか。」
と、言っていたが、
「さあ、これが証文だ。」
何か書いて渡している様子だった。帰してしまうと、六畳の部屋へ顔を差入れて、化粧をしている清子の鏡のなかへ、自分の顔をうつしこんだ泡鳴は、
「彼女だよ、放浪(小説)のモデルの女は。缶詰事業のとき、彼女の着物も質に入れてしまったので、返してくれといって来たのだ。金がなければ、証文にしろといって、持っていった。」
清子は、今帰っていった女のことなどは、あんまり気にならなかった。