Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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しんしゃくしょこくばなし

新釈諸国噺

太宰 治

Leggi 新釈諸国噺 (しんしゃくしょこくばなし) di Dazai Osamu (太宰 治) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 93.562 caratteri · 179 schermate

Aozora Bunko

ああ、駕籠に乗りたい。

「うまい事をおっしゃる。」勝太郎には、蛸の謎が通じない。ただ無心に笑っている。

丹三郎はいまいましげに勝太郎を横目で睨んで、

「お前もまた、野暮な男だ。思いやりというものがない。」とあらたまった口調で言った。

「はあ?」と勝太郎はきょとんとしている。

「見ればわかるじゃないか。おれはもう、歩けなくなっているのだ。おれはこんなに太っているから股ずれが出来て、人に知られぬ苦労をして歩いているのだ。見れば、わかりそうなものだ。」と言って急に顔を苦しげにしかめ片足をひきずって歩きはじめた。

「肩を貸してやれ。」とお駕籠の後に扈従していた神崎式部は、その時、苦笑して勝太郎に言いつけた。

「はい。」と言って勝太郎は、丹三郎の傍に走り寄り、蛸の右手を執ったら、蛸は怒って、

「ごめんこうむる。こう見えても森岡丹後の子だ。お前のような年少の者の肩にしなだれかかって峠を越えたという風聞がもし国元に達したならば、父や兄たちの面目が丸つぶれじゃないか。お前たち親子はぐるになって、森岡の一家を嘲弄する気なのであろう。」とやけくそみたいに、わめき立てた。神崎親子は、顔色を変えた。