Classici giapponesi con furigana
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しんしゃくしょこくばなし
新釈諸国噺
Leggi 新釈諸国噺 (しんしゃくしょこくばなし) di Dazai Osamu (太宰 治) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 93.562 caratteri · 179 schermate
ぬ。
「いよいよ無いにきまった。」と亭主は思い切って、「もうよい、捜すな。桝一ぱいの小判をまさか鼠がそっくりひいて行ったわけでもあるまい。福の神に見はなされたのだ。よくよく福運の無い家と見える。」と言ったが口惜しさ、むらむらと胸にこみあげ、「いい笑い草だ。八右衛門の勘定はどうなるのだ。むだな喜びをしただけに、あとのつらさが、こたえるわい。」と腹をおさえて涙を流した。
女房もおろおろ涙声になって、
「まあ、どうしましょう。ひどい、いたずらをなさる人もあるものですねえ。お金を下さってよろこばせて、そうしてすぐにまた取り上げるとは、あんまりですわねえ。」
「何を言う。そなたは、あの、誰か盗んだとでも思っているのか。」
「ええ、疑うのは悪い事だけれども、まさか小判がひとりでふっと溶けて消えるわけは無し、宵からこの座敷には、あの十人のお客様のほかに出入りした人も無し、お帰りになるとすぐにあたしが表の戸に錠をおろして、――」
「いやいや、そのようなおそろしい事を考えてはいけない。小判は神隠しに遭ったのだ。わしたちの信心の薄いせいだ。あのように情深いご近所のお方たちを疑うなどは、とんでもない事だ。