Classici giapponesi con furigana
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しんしゃくしょこくばなし
新釈諸国噺
Leggi 新釈諸国噺 (しんしゃくしょこくばなし) di Dazai Osamu (太宰 治) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 93.562 caratteri · 179 schermate
利左は平気を装い、
「ここだ、この家だ。三人はいったら、坐るところが無いぞ。」と笑い、「おい、お客さまだぞ。」と内儀に声を掛ければ、内より細き声して、
「そのお三人のうち、伊豆屋吉郎兵衛さま、お帰り下さいまし。そのお方には昔お情にあずかった事がございます。」という。吉郎兵衛へどもどして、
「いや、それはお固い。昔の事はさらりと水に流して。」と言えば、利左も、くるしそうに笑い、
「そうだ、そうだ。長屋の嬶にお情もくそもあるものか。自惚ちゃいけねえ。」とすさんだ口調で言い、がたぴし破戸をあけて三人を招き入れ、「座蒲団なんて洒落たものはねえぞ。お茶くらいは出す。」
女房は色青ざめ、ぼろの着物の裾をそそくさと合せて横坐りに坐って乱れた髪を掻き上げ、仰向いて三人の顔を見て少し笑い、
「まあ。」と小さい声で言ったきり、お辞儀をするのも忘れている。亭主はいそがしそうに狭い部屋を歩きまわり、仏壇の戸びらの片方はずれているのを引きむしり、菜切庖丁で打ち割って、七輪にくべてお茶をわかし、先刻窓から顔を出していた子供はと見れば、いつの間にか部屋の隅の一枚蒲団にこぶ巻になって寝ている。