Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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しんしゃくしょこくばなし

新釈諸国噺

太宰 治

Leggi 新釈諸国噺 (しんしゃくしょこくばなし) di Dazai Osamu (太宰 治) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 93.562 caratteri · 179 schermate

Aozora Bunko

愚図の貧、親戚の持てあまし者の浪人であった。さいわい、親戚に富裕の者が二、三あったので、せっぱつまるとそのひとたちから合力を得て、その大半は酒にして、春の桜も秋の紅葉も何が何やら、見えぬ聞えぬ無我夢中の極貧の火の車のその日暮しを続けていた。春の桜や秋の紅葉には面をそむけて生きても行かれるだろうが、年にいちどの大みそかを知らぬ振りして過す事だけはむずかしい。いよいよことしも大みそかが近づくにつれて原田内助、眼つきをかえて、気違いの真似などして、用も無い長刀をいじくり、えへへ、と怪しく笑って掛取りを気味悪がせ、あさっては正月というに天井の煤も払わず、鬚もそらず、煎餠蒲団は敷きっ放し、来るなら来い、などあわれな言葉を譫語の如く力無く呟き、またしても、えへへ、と笑うのである。まいどの事ながら、女房はうつつの地獄の思いに堪えかね、勝手口から走り出て、自身の兄の半井清庵という神田明神の横町に住む医師の宅に駈け込み、涙ながらに窮状を訴え、助力を乞うた。清庵も、たびたびの迷惑、つくづく呆れながらも、こいつ洒落た男で、「親戚にひとりくらい、そのような馬鹿がいるのも、浮世の味。