Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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たびのたびのたび

旅の旅の旅

正岡 子規

Leggi 旅の旅の旅 (たびのたびのたび) di 正岡 子規 (まさおかしき) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 5120 caratteri · 10 schermate

Aozora Bunko

あまりの絶景に恍惚として立ちも得さらず木のくいぜに坐してつくづくと見れば山更にしんしんとして風吹かねども冷気冬の如く足もとよりのぼりて脳巓にしみ渡るここちなり。波の上に飛びかう鶺鴒は忽ち来り忽ち去る。秋風に吹きなやまされて力なく水にすれつあがりつ胡蝶のひらひらと舞い出でたる箱根のいただきとも知らずてやいと心づよし。遥かの空に白雲とのみ見つるが上に兀然として現われ出でたる富士ここからもなお三千仞はあるべしと思うに更にその影を幾許の深さに沈めてささ波にちぢめよせられたるまたなくおかし。箱根駅にて午餉したたむるに皿の上に尺にも近かるべき魚一尾あり。主人誇りがにこは湖水の産にしてここの名物なりという。名を問えば赤腹となん答えける。面白き秋の名なりけり。これより山を下るに見渡す限り皆薄なり。箱根の関はいずちなりけんと思うものから問うに人なく探るに跡なし。これらや歌人の歌枕なるべきとて

関守のまねくやそれと来て見れば

尾花が末に風わたるなり

薄の句を得たり。

大方はすゝきなりけり秋の山

伊豆相模境もわかず花すゝき

二十余年前までは金紋さき箱の行列整々として鳥毛片鎌など威勢よく振り立て振り立て行きかいし街道の繁昌もあわれものの本にのみ残りて草刈るわらべの小道一筋を除きて外は草の生い出でぬ処もなく