Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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りょしゅう

旅愁

横光 利一

Leggi 旅愁 (りょしゅう) di 横光 利一 (よこみつりいち) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 576.941 caratteri · 1138 schermate

Aozora Bunko

あなたのお国の方は、もうそんな必要あまりないのじゃありませんか。」

「いや、そこはまだ分らないところですよ。」

久慈の云うのをすぐ矢代は受けて云った。

「しかし、遣唐使も取り入れるものがなくなった最後のころには、みな堕落して帰って来てるね。日本というところは、そうなるとぴたりと一度蓋をしてこれを固めなくちゃすまぬところだ。日本が中で固める必要の起っているときに、中国はいよいよこれから遣欧使の必要に迫られているときだから、日本と中国との間でごたごたがつづくのだと思う。早い話がまアそう云った二国の相違というようなものを、一番よく知っていて、その差をあれこれするものがここの西洋にはあるのだ。僕らは知られているのだ。」

一同のふとまた黙ってしまったときにコーヒーとウィスキーが下から来た。真紀子は藤色の腕を延ばしそれをみなに配った。幾分とがり始めた男たちの気分もゆらめく真紀子の匂いにゆるみを帯んだ。久慈はウィスキーを取り上げようとしたときに、ふとまた真紀子の投げた枕もとの薔薇の花が眼に映った。さきほどまであれほど合理性の話に夢中になっていたときとて、その真紅の一輪を見ると、突然自分の話のひどく事物からかけ放れていたことに気がついて、ひとり悦に入っていた得度の優越した明るさも、苦笑に似た淋しさに変って来るのだった。