Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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りょしゅう

旅愁

横光 利一

Leggi 旅愁 (りょしゅう) di 横光 利一 (よこみつりいち) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 576.941 caratteri · 1138 schermate

Aozora Bunko

」と云いながら、彼は、春夏秋冬といってもどこのもそれぞれ違うのだと思ったり、東京よりもどこより先ず帰れば温泉へ行きたいと、パリで友人らと話したことを思い出したりした。しかし、こうして帰ってみれば、やはりどこより彼は東京が懐しかった。東京のどんな所が面白いのか分らなかったが、この地が間違いなく東京だと思うことで、彼は心が落ちつけるのだった。車が帝国ホテルの前まで来たとき、父は、

「洋行から帰ると、その晩はホテルへ泊る方が良いと人はいうが、お前すぐ家へ帰っても良いのか。」と訊ねた。

洋行と父に云われると、矢代は突然身の縮むような羞しさを覚えた。

「洋行なんて――そんな大げさなものじゃなかったなア、僕のは。」

矢代は一寸黙った。何を云おうとも、今は意味など出しようがないことばかりのように思われた。何か悲しくもあれば嬉しくもあり、どちらへ転げようとも同じな、ただ軽るがるとした気持ちだった。

「洋行というのはお父さん、あれは明治時代に云ったことですよ。」

ふとまた彼はそう云ったが、今はそんなことより急に街が見たくなった。街のどこが見たいというより、いつも見ていたあそこもここもという風に見たくなり、そして、先ず何より寿司が食べたいと思った。