Classici giapponesi con furigana
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りょしゅう
旅愁
横光 利一
Leggi 旅愁 (りょしゅう) di 横光 利一 (よこみつりいち) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 576.941 caratteri · 1138 schermate
千鶴子以外の他に誰かと結婚する意志でも起って来るようなときには、調査の上比較する必要も起るであろうが、そんな意志のない限り、知るより知らぬ方が便利でもあったし、知りたくとも耳を塞ぐ気持ちも良かった、またそれは、同時に自分の方についても同じだった。
「あの千鶴子さんはね、末っ子で、親からも兄弟からも可愛がられすぎるんだよ。そこがいつもすらすら通ることでも、結婚問題となると、反対にそれだけごつごつ難かしくなるんだね。何んでも侯爵夫人が間へ立っているとか僕は聞いたんだが、そういうことは、あそこのお袋は好きな人だよ。僕から見れば、今まで君が黙っているのはよく分るんだが、しかし、人には分らないからね。」
矢代と千鶴子との間のことは、見て見ぬふりをしていた塩野も、それだけは遁さずに淡白さを装っていたのかと思うと、千鶴子の兄の由吉と彼との友情のふかさも矢代には考えられた。自分に向けられる友情よりも由吉への深さが考えられた。
「もう皆さんそろそろ顕われるところだろう。」
矢代は千鶴子のこととなると話を反らして時計を見るのだった。
歩廊に出迎えの人人の賑い始めたころになって、外交官の速水や、音楽家の遊部など、矢代の顔見知りの人たちもぽつぽつ集った。