Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

ja-reading.com

Leggi i classici giapponesi online con furigana. Filtra per livello JLPT, tocca una parola per il significato e traduci una frase.

りょかんについて

旅館について

山本 周五郎

Leggi 旅館について (りょかんについて) di 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 7912 caratteri · 16 schermate

Aozora Bunko

私は眼がさめてしまい、喉の渇きに耐えかね、蚊を追う煩にも耐えかねた。北側の廂の間に燭光の弱い電燈がついている、やむを得ない、私はそっちへいってみた。だが誰もいなかった。まえに来たときはあんなに親切で、ゆき届いた女中さんがそこに泊っていてくれた。だがいまは誰もいないし、サービス用の器具も調度もなく、がらんとして人間のいたけはいさえない。私は渡り廊下のほうへいって、「のぶさーん」と叫び「くにのりー」と叫んだ。云うまでもないことだがあたりは寝しずまっていて、返辞のへの字もかえってはこない。私は大広間へ戻り、やけ酒を飲もうとした。私は酒豪という虚名をいただいているけれども、ウィスキーをストレートでは飲めない、水で割らなくてはだめなのだが、その水なるものがないのである。

「こう暗くっちゃしようがない」と私は呟いた、「まずでんきをつけよう」

私は伸びあがって電燈のスイッチを捻った。電燈はつかない。他のほうをこころみたがこれもつかない。明らかに元スイッチが切ってあるのだ。暑くて汗が垂れるし蚊が集まってくる。私は元スイッチを捜しにかかった。旅館でも料亭でも、元スイッチのあるところはおよそきまっている。