Classici giapponesi con furigana
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うえの
日和下駄 一名 東京散策記
永井 荷風
Leggi 日和下駄 一名 東京散策記 (うえの) di 永井 荷風 (ながいかふう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 33.955 caratteri · 70 schermate
天秤棒の両端に箱をつるし、ラウーイラウーイと呼んで歩いた旧い羅宇屋はいつかなくなって、新しい車に変ったのである。歯入屋も近年は大抵羅宇屋に似た車を曳いて来るようになった。
研屋は今でも折々天秤棒を肩にして、「鋏、庖丁、剃刀研ぎ」と呼わりながら門巷を過るが鋳掛屋の声はいつからとも知らず耳遠くなってしまった。是れ現代の家庭に在っては台所で使う鍋釜のたぐいも悉く廉価なる粗製品となり、破損すれば直様古きを棄てて新しきを購うようになった為めであろう。何物にかぎらず多年使い馴れた器物を愛惜して、幾度となく之を修繕しつつ使用していたような醇朴な風習が今は既に蕩然として後を断ったのも此の一事によって推知せられる。
明治三十年の春明治座で、先代の左団次が鋳掛松を演じた時、鋳掛屋の呼び歩く声を真似するのが至難であったので、まことの鋳掛屋を招いて書割の後から呼ばせたとか云う話を聞いたことがあった。
わが呱々の声を揚げた礫川の僻地は、わたくしの身に取っては何かにつけてなつかしい追憶の郷である。むかしのままなる姿をなした雪駄直しや鳥さしなどを目撃したのも、是皆金剛寺坂のほとりに在った旧宅の門外であった。