Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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にちにちへいあん

日日平安

山本 周五郎

Leggi 日日平安 (にちにちへいあん) di 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 28.297 caratteri · 56 schermate

Aozora Bunko

「たぶんそれは」と菅田平野が云った、「――井坂さんが江戸へ帰られたのを誤解したんでしょうな、自分たちの悪事を江戸へ報告にいったというふうに」

「こっちです、静かにして下さい」

杉林を出た左側に大きな建物があった。その向うに厩があるとみえ、馬たちの鼻をならす声や、地面を掻く蹄の音が聞えた。十郎太はこちらの、大きな建物の中へ、菅田平野を伴れこんだ。それは馬草小屋であった。中へ入って引戸を閉めると、甘酸っぱい乾し草の匂いでむせそうになった。

「こいそ」と十郎太がささやいた、「――どこにいる」

返辞はなかったが、乾し草の山の蔭から(袖で提灯を隠しながら)一人の娘が出て来た。十八ばかりの、小柄な躯つきで、眼鼻だちのちまちまとした、いかにもはしこそうな顔をしている。十郎太は彼女を「千鳥の侍女こいそです」といって、菅田平野にひきあわせた。

こいそは二人の前でもういちど話した。

「菊井六郎兵衛という大目付の方が指揮で、三十人ばかりの人が来ました」とこいそは云った。「――ゆうべのちょうどいまごろで、旦那さまは庄野主税さまと御対談ちゅうでした」

踏み込んで来たかれらは、三手に分れて、菊井ら十人は陸田精兵衛と、客の庄野主税を取囲み、他の一組は家士たちを長屋に押込め、もう一組は邸内の警備に当った。