Classici giapponesi con furigana
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ぎじんのすがた
日本の怪談
田中 貢太郎
Leggi 日本の怪談 (ぎじんのすがた) di 田中 貢太郎 (たなかこうたろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 56.030 caratteri · 115 schermate
六
「では、彼奴、死んじゃったろうか」
「そうですね、どうかなったのでしょうよ」
その日もお滝は表座敷から出て来なかったがへんな挙動はしなくなった。新一はそれに安心して昼からすぐ近くの朋友の処へ遊びに往った。朋友は吉と云う魚屋の伜であった。二人はその魚屋の入口で顔を合した。
「新ちゃん、この間うち、ちっとも来なかったが、何うしていたのだ」
「おいらは、お母さんに狐が憑いたから、それで来なかったよ」
「なに、狐が憑いた、ほんとうかい」
「ほんとうとも、嘘を云うもんか、おいらは、その狐を斬ったよ」
「嘘云ってら、狐が斬れるものか」
「でも、斬ったのだよ」
「じゃ、死んじゃったかい」
「逃げちゃったよ、彼奴を殺したかったよ、どうかして、あんな奴を殺せないかなあ」
「狐は化けるから殺せないよ、家のお父さんが云ったよ、狐でも狸でも、銀山の鼠取を喫わせりゃ、まいっちまうって」
「そうかい、銀山の鼠取かい、鼠取ならおいらの家にもあるよ」
新一はそれから吉と一二時間も遊んでいたが、母親のことが気になりだしたので急いでかえって来た。
六
お滝はやはり表座敷から出て来なかったが、その晩もその翌晩も、もう独言も云わなければ怪しい挙動もしなかった。