Classici giapponesi con furigana
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あべいちぞく
日本の文学 3 森鴎外(二)
Leggi 日本の文学 3 森鴎外(二) (あべいちぞく) di Mori Ōgai (森 鴎外) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 68.545 caratteri · 140 schermate
人には誰が上にも好きな人、いやな人というものがある。そしてなぜ好きだか、いやだかと穿鑿してみると、どうかすると捕捉するほどの拠りどころがない。忠利が弥一右衛門を好かぬのも、そんなわけである。しかし弥一右衛門という男はどこかに人と親しみがたいところを持っているに違いない。それは親しい友達の少いのでわかる。誰でも立派な侍として尊敬はする。しかしたやすく近づこうと試みるものがない。まれに物ずきに近づこうと試みるものがあっても、しばらくするうちに根気が続かなくなって遠ざかってしまう。まだ猪之助といって、前髪のあったとき、たびたび話をしかけたり、何かに手を借してやったりしていた年上の男が、「どうも阿部にはつけ入る隙がない」と言って我を折った。そこらを考えてみると、忠利が自分の癖を改めたく思いながら改めることの出来なかったのも怪しむに足りない。
とにかく弥一右衛門は何度願っても殉死の許しを得ないでいるうちに、忠利は亡くなった。亡くなる少し前に、「弥一右衛門奴はお願いと申すことを申したことはござりません、これが生涯唯一のお願いでござります」と言って、じっと忠利の顔を見ていたが、忠利もじっと顔を見返して、「いや、どうぞ光尚に奉公してくれい」