Classici giapponesi con furigana
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うつりが
日本の文学 8 田山花袋 岩野泡鳴 近松秋江
近松 秋江
Leggi 日本の文学 8 田山花袋 岩野泡鳴 近松秋江 (うつりが) di 近松 秋江 (ちかまつしゅうこう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 152.306 caratteri · 300 schermate
名札が取れて女がいなくなったにしても、もとよりどこを当てに訊ねるわけにも行かず、ましてそれが他の男に落籍されてしまったのであるとすれば、今ごろは、こちらのことを――もし知っているとすれば――「阿呆め」とでもいって、好い心持になっているであろう。それを思いこれをおもい、この冬の寒い夜風の中を気狂いになって飛びまわってもしかたがない。今夜はこのまま宿に帰り、哀れな自分をいたわりながら、どうかじっと寝ながらよく考えよう。
そう思って、宿にかえり、自分の部屋に通って、火鉢の傍に一旦坐って、心を落ち着けようとしてみたが、とても、もっと委しい事情を訊き糺さねばそのままに寝られるどころではない。それで、その宿には電話がないので、いつも借りつけになっている、近処の家まで出ていって、また彼女のいた祇園町の家へ電話を掛けてみた。
すると、初めはやっぱりさっきと同じことをいっていたが、こちらの名を明かして、実は、さっきそちらの前を通りかかって、ふと見ると、藤村の名札が取れているのを見てはじめて気がついたのであるといって、
「留守じゃない、もうあんたの家にはいないんだろう」