Classici giapponesi con furigana
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うつりが
日本の文学 8 田山花袋 岩野泡鳴 近松秋江
近松 秋江
Leggi 日本の文学 8 田山花袋 岩野泡鳴 近松秋江 (うつりが) di 近松 秋江 (ちかまつしゅうこう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 152.306 caratteri · 300 schermate
婆さんはむずかしそうな顔をして膳の上の肴をつつきながら、ぶつぶつひとり言をいうように、
「まだどこのどなたとも一向お名前も承わりまへんけど、出ている者に金を取られるということは、世間に何ぼもあるならいどすよって、……茶屋の行燈には何と書いておす、え、金を取ると書いておす。こうお見受けしたところ、あんたはんも、まんざら物の出来んお方でもおへんやろ。向うは人を騙さにゃ商売が成り立ちまへん。それを知って騙されるのはこちらの不覚。それをまた騙されんようでは、遊びに往ても面白うない。出ていた者が引いた後まで、馴染みのお客やからいうて、一々義理を立てていては、今日その身が立ちまへん。……どこのどなたはんかまだお名前も知りまへんが、こりゃあ、わるい御量見や」婆さんは一語一語にもっともらしゅう力を籠めて説諭するようにいう。
私は、まだ名前を承わらぬと、厭味をいわれたので、それにはいささか当惑しながら、
「それは、まったく私の不行届きでした。ついこんどのことに心を取り乱して申し忘れていました。私はなにがしと申す者でございまして、生国はどこですが、もう長く東京に住んでおります」