Classici giapponesi con furigana
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うつりが
日本の文学 8 田山花袋 岩野泡鳴 近松秋江
近松 秋江
Leggi 日本の文学 8 田山花袋 岩野泡鳴 近松秋江 (うつりが) di 近松 秋江 (ちかまつしゅうこう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 152.306 caratteri · 300 schermate
けれども、そうなり入った原因をいえばまた彼女にもそうした責めがないでもなかったのだ。
主人も私の言葉につれて、
「姉さん、そんなこともう、今いわんとおきやす。いつでも後になって、あんたはんたち二人でまた笑ってそんなことは話せますよって」と抑えるようにいって、
「……さあ、もうあんまり長うなると、お母はんがまた喧しゅういわはりますさかい……姉さんほんならよろしいなあ、どうぞ今夜の約束はこのお方でのうて私に対して違えんようにしておくれやす」
と主人は重ね重ね念を押していった。そして私に向って、
「兄さん、あんたはんも、もういうことおへんか……ほんならもう、どっちも異存おへんなあ」と、言いきって、また気を変えて、
「さあ、姉さんえらい御苦労さんどした。どうぞ帰ってお寝みやしとくれやす。遅うまで済みまへん」
彼女はそれをしおにようよう立ち上がって、礼をいいつつ、壁隣りの自分の家に帰った。
七
まだ二月半ばの厳しい寒威は残っていても、さすがに祇園町まで来てみると明麗な灯の色にも、絶ゆる間もない人の往来にも、何となくもう春が近づいて来たようで、ことに東京と異って、京は冬でも風がなくって静かなせいか夜気の肌触りは身を切るように冷たくっても、ほの白く露霜を置いた、しっとりとした夜であった。