Classici giapponesi con furigana
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うつりが
日本の文学 8 田山花袋 岩野泡鳴 近松秋江
近松 秋江
Leggi 日本の文学 8 田山花袋 岩野泡鳴 近松秋江 (うつりが) di 近松 秋江 (ちかまつしゅうこう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 152.306 caratteri · 300 schermate
喜久井町にかえると、老母さんは、膳立てをして六畳の机の前に運んで来た。私はそれを食べながら、銭の工面をして、出かけようとすると、
「またどこかへおいでなさるんですか」老母さんは、門の木戸を明けている私の背後から呼びかけた。
「ええ、ちょっと」と、いったまま、私は急いで歩き出した。
そして先だってお宮の連れ込みで行った、清月という小さい待合に行ってお宮を掛けると、すぐやって来た。
一と口挨拶をした後は黙って座っているその顔容から姿態をややしばらくじいっと瞻っていたが柳沢がどうもせぬ前とどこにも変ったところは見えない。肌理の細かい真白い顔に薄く化粧をして、頸窪のところのまるで見えるように頭髪を掻きあげて廂を大きく取った未通女い束髪に結ったのがあどけなさそうなお宮の顔によく映っている。そしてその女の癖で鮮かな色した唇を少し歪めたようにして眩しそうに眸をあげて微笑みかけながら黙っていた。
「どうしていた?」
私は、やっぱりじろじろとその顔を見守った。傍で、その顔を見ている者があったら薄気味わるく思ったかも知れぬ。
「いいい」お宮は何ともいえない柔かな可愛い声を出した。