Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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せっしょうせき

日本の諸国物語

楠山 正雄

Leggi 日本の諸国物語 (せっしょうせき) di 楠山 正雄 (くすやままさお) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 75.040 caratteri · 158 schermate

Aozora Bunko

しっぺい太郎

一

一

むかし、諸国のお寺を巡礼して歩く六部が、方々めぐりめぐって、美作国へまいりました。だんだん山深く入っていって、ある村の中に入りますと、何かお祝い事があるとみえて、方々でぺんたらこっこ、ぺんたらこっこ、もちをつく音がしていました。

するとその中で一けん、相応にりっぱな構えをした家が、ここだけはきねの音もしず、ひっそりかんと静まりかえっていました。家の中からは、かすかにすすり泣きをする声さえ聞こえてきました。

六部は「はてな。」と首をかしげながら、そのまま通りすぎていきますと、村はずれに一けんの茶店がありました。六部は茶店に休んで、お茶を飲みながら、おばあさんを相手にいろいろの話をしたついでに、

「おばあさん、おばあさん。この村には何かお祭りでもあるのかね。だいぶにぎやかなようじゃあないか。だがその中で一けん、大そう陰気に沈みこんだ家があったが、あれは親類に不幸でもあったのかね。」

と聞きました。するとおばあさんは、お茶盆を手に持ったまま、

「まあ、それはこういうわけでございますよ。あなたは方々の国々をお回りですから、たぶん御存じでしょうが、この村でも年々、それ、あそこにちょっと高い山がございましょう、あの山の上の神さまに、人身御供を上げることになっているのでございます。