Classici giapponesi con furigana
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チチハルまで
日本プロレタリア文学集・20 「戦旗」「ナップ」作家集(七)
黒島 伝治
Leggi 日本プロレタリア文学集・20 「戦旗」「ナップ」作家集(七) (チチハルまで) di 黒島 伝治 (くろしまでんじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 4175 caratteri · 9 schermate
米吉は、勿論、罰金の百円はなかった。百円どころか、十円だって、五円だってなかった。とるなら勝手に取りやがれ! 巡査も、ウヤムヤで来なくなってしまった。ところが、十一月に麦蒔きが始まった頃である。お屋敷の屋根からとんでくる鳩が麦の畝をホジくった。鳩は麦の種子を食う。金肥えの鰊粕を食う。鳩を追う。が、人がいなくなると、鳩はまたやって来る。
「くそッ!」
米吉は、とうとうカンシャク玉を破裂さした、生活の糧まで食われるという法はなかった。古い猟銃を持ち出して、散弾をこめた。引鉄を握りしめると、銃声がして、畝にたかっていた鳩は空中に小気味よく弧を描いて、畠の上に落ちた。
しかし、すぐ、駐在所から、銃声を聞きつけた奴がとび出してきた。鉄砲の持主をセンサクした。だが、米吉はどこへかくれたか分らなかった。