Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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はんぎゃく

日本プロレタリア文学集・23 婦人作家集(三)

矢田 津世子

Leggi 日本プロレタリア文学集・23 婦人作家集(三) (はんぎゃく) di 矢田 津世子 (やだつせこ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 16.512 caratteri · 34 schermate

Aozora Bunko

併し、それでもあの言葉がひっきりなしにお松の頭を通過する。……

腹を害ねて臥っている牧師を案じて、お松は気忙しかった。近道をして家の前へ出てみると消燈して、窓は黒く寂しい。お松はドアを押した。みんな寝てしまったのかと思った。会堂で物音がした。牧師様が夜のお祈りをあげているのだな、で、お松は、み心を掻き乱さないようにと、足音を忍ばせて廊下を歩いた。

バタン、椅子の倒れる大きな音がした。

忍び笑いと、それを叱る低声が伝わってきた。床板がキシキシ鳴った。壁にぶつかる音と、それを追う白い影が夢の様に通っていった。むせるような笑声とそれを圧しつける声が稍々高く響いた。

「ハハハハ、もっとこっち来う。アーメンもっとこっち来う。痛い痛い。アーメン」

お松は、黒い血が頭のてっぺんからドクドクと吹き出るような気がした。胸がキリキリ圧迫されて、今にも呼吸が止まりそうに思った。冷やっこい汗が額を流れた。

「……兼じゃないか。何してンのか?」

「おっ母ア、ハハハ、アーメンが、アーメンが……ハハハハ……」

母親を目掛けて、獣の様に飛んできた。腰巻一枚の素裸だった。

「アーメン、来う、アーメン……」