Classici giapponesi con furigana
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しゅんせつせん
日本プロレタリア文学集・8 葉山嘉樹集
葉山 嘉樹
Leggi 日本プロレタリア文学集・8 葉山嘉樹集 (しゅんせつせん) di 葉山 嘉樹 (はやまよしき) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 34.935 caratteri · 73 schermate
処が、彼が座席の上に置いてあったバスケットは、そこに無かった。
そこには、網棚から兵児帯を吊して、首でも縊る時のように、輪の中へ顎を引っかけて、グウグウ眠っている男があった。
車室はやけに混んでいた。デッキには新聞紙を敷いて三四人も寝ていた。通路にさえ三十人も立ったり、蟠ったりしていた。眼ばかりパチパチさせて、心は眠ってるのもあった。東京の空気を下の関までそっくり運ぼうとでもするように車室内の空気はムンムン沈澱していた。
「図太え野郎だ。ハッハッハ、変ってやがらあ。首っ吊りしてやがらあ。はてな、俺のバスケットをどこへ持って行きやがったんだろう。おや、踏んづけてやがら、畜生! 叶わねえなあ、こんな手合にかかっちゃ。だが、この野郎白っぱくれて、網を張ってやがるんじゃねえかな。バスケットの中味を覗いたのたあ違うかい? 冗談じゃあねえぜ、余りやり方がしぶといや。薄っ気味が悪いや。何だい、馬鹿にしてやがら、未だ小僧っ子じゃないか。十七かな、八かな。可愛い顔をしてらあ、ホラ、口ん中に汗が流れ込まあ」
彼は、暫く凭れにかかって、少年を観察していた。
少年は疲れた顔を、帯の輪の間に突っ込んで、深い眠りに眠りこけていた。