Classici giapponesi con furigana
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あねがわのかっせん
日本合戦譚
菊池 寛
Leggi 日本合戦譚 (あねがわのかっせん) di 菊池 寛 (きくちかん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 154.771 caratteri · 313 schermate
既に卯の刻(午前六時)となったし、濃霧は次第にはれてきた。不図前方をみればこは如何に、越の大軍が潮の如く我に向って前進中である。正に「暁に見る千兵の大牙を擁するを」だ。「武田の諸勢も之を見て大に仰天し、こは何時の間に斯る大軍が此の地に来れる。天よりは降りけん地よりは湧き出でけん、誠に天魔の所行なりとさしもに雄る武田の勇将猛士も恐怖の色を顕し諸軍浮足立つてぞ見えたりける」(『甲陽軍記』)
謙信は、一万三千の内旭山城に五千を残したから、精兵八千で、人数は同じであるが、不意に出られた武田勢は、最初から精神的な一撃を受けたのである。
さすがに百戦練磨の信玄は少しもおどろかず、浦野民部に敵情をさぐらせたところ、「謙信味方の備を廻って立ちきり幾度もかくの如く候て犀川の方へ赴き候」との報告、信玄公聞召し、「さすがの浦野とも覚えぬことを申すものかな、それは車懸とて幾廻り目に旗本と敵の旗本と打合って一戦する時の軍法なり」とあって備を立直したと云う。
(だが車懸とは如何するのか一寸疑問で、大軍を立ちきり立ちきり廻すというのは、実際困難である。だが、軍記作者のヨタでもないらしく、実際川中島に於ける謙信の陣立は水車の如く、旗本を軸としてまわって陣し、全軍が敵軍に当った。