Classici giapponesi con furigana
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にほんふどうき
日本婦道記
山本 周五郎
Leggi 日本婦道記 (にほんふどうき) di 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 8286 caratteri · 16 schermate
「まあみごとでございますこと」思わず声をあげながら、濡れ縁に坐ろうとする加代を、かな女は部屋へ呼びいれて相対した、それで加代ははっとした、呼ばれたのは梅を観るためではない、姑の眼はいつものやさしいなかに屹とした光があった。――和歌のお叱りだ。そう直感した彼女は、なにも云われないまえからもう胸の塞がる感じだった。
「きょうは、わたくしの思い出ばなしを聴いて戴こうと思いましてね」
かな女はしずかに云った。
「年寄の愚痴ばなしです、これまで誰ひとりうちあけたことのない、恥ずかしいはなしなのです、聞いて呉れましょうか」
「はい、うかがわせて戴きます」
「かた苦しく考えないで、膝をらくにして聴いて下さいよ」
かすかな東風が、梅のかおりをほのかにおくってくる、かな女はそのかおりをきき澄ますようなしずかさで話しだした。
「わたくしが多賀の家へとついで来たのは十六歳のときでした、実家の身分が低く、稽古ごとも思うままにはならなかったのでわたくしは本当になにも知らぬ愚かな嫁でした。とついで来てから十年というものは、まるで闇のなかを手さぐりであるくように、やっとその日その日を送っていたようなものです、ただお姑さまがお情けのふかいよくお気のつくかただったので、このかたおひとりを頼りに一つ一つ家政を覚えたのでした。