Classici giapponesi con furigana
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にほんふどうき
日本婦道記
山本 周五郎
Leggi 日本婦道記 (にほんふどうき) di 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 10.765 caratteri · 21 schermate
その夜、父の前へ出た菊枝は、これから登野村の老母のもとへゆきたいと云いだした。
「わたくし尼になるつもりでおりました。けれど尼になったつもりで御老母のゆくすえをおみとり申したいと存じます」
父がおどろくより先に怒ったことはその眼の色でわかった。菊枝は決心のかたさを示すように、父のその眼をがっちりと受けとめた。
「おまえには」
と父はきめつけるように云った。
「そうすることが仲沢の家名にどうひびくかわかるか」
「わたくしは一旦この家から出た者でございます、尼になるか、世にたよりない御老母をみとるか、いずれにしてもやがてはこの家を出てまいらなければならぬからだです、父上さま、おゆるし下さいまし」
「ならぬと申したらどうする」
菊枝はさっと蒼ざめた、そして苦しそうに眼をふせながら、きっぱりと答えた。
「わたくし義絶をして戴きます」
父の拳が膝の上でぶるぶると震えるのを、菊枝はやっと自分を支えながら見まもっていた。
菊枝は父から勘当された、そしてわずかな着替えの包みを持ち、或る日たったひとりでしずかに家を出ていった。……たずねるさきはすぐにわかった。城下町から南にあたる丘つづきで、その家は二十軒と呼ばれる村の名主だった。