Classici giapponesi con furigana
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にほんふどうき
日本婦道記
山本 周五郎
Leggi 日本婦道記 (にほんふどうき) di 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 12.620 caratteri · 26 schermate
継しい子とか身を痛めた子とか仰有るが、あなたにはそのどちらの子もある筈はない。武家に生れた男子はみなおくにのために、身命を賭して御奉公しなければならない、そのときまでお預り申して、あっぱれもののふに育てあげるのが親の役目です。はじめからお預り申した子に親身も他人もあると思いますか。よく考えてごらんなさい……」ひしと粗朶をお折りになった音が、お言葉といっしょに私を打つ鞭かと思えた。
長橋のおばあさまに、それからのちにもお訓えをうけたことが多い。なかにはぜひ書きとめて置きたいものもあるのだが、間もなく夜が明けるとみえて連子のあたりが白んでいるし、もうすぐ貞二郎が起きて来るだろう、あの子は朝が早いのだから……。筆をおくに当って想いかえすことはひとかど歌人にも成りかねなかった自分と、今日ある自分との違いの大きさだ。どちらが仕合せか、どちらに生き甲斐があるかは私が云うことではあるまい。仕合せとは仕合せだということに気づかない状態だというが、現在の私にはそれを考えるいとまさえないようだ。三人の子たちが人にすぐれたもののふに成って、あっぱれお役に立って呉れる日を待ち望むだけである。