Classici giapponesi con furigana
ja-reading.com
Leggi i classici giapponesi online con furigana. Filtra per livello JLPT, tocca una parola per il significato e traduci una frase.
にほんふどうき
日本婦道記
山本 周五郎
Leggi 日本婦道記 (にほんふどうき) di 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 11.409 caratteri · 23 schermate
それは心がおちつき場をもったしるしだった、弱さは弱さなりに底がある、その底をつきとめ、その底をたしかに踏みしめたとき、竹叢にわたる風の音を聞きわけるゆとりができたのである。かの女はやがてしずかに眼をみひらいた、あれほどよろめきたゆたっていた心が、とにもかくにもおちついていた。自分には、自分にできるかぎりのことしかできない、十のもので百のたたかいをするちからは自分にはない、それはたしかだ、けれども十のものを十だけにたたかいきることはできそうだ。そういう気がしはじめた、軍の法もよくは知らないし、奇略とか妙策とかいうものもない、自分はごくあたりまえな女である、平凡なひとりの妻にすぎない、ただその平凡さをできるかぎり押しとおし、つらぬきとおすことよりほかになんのとりえもない、そしてそのかぎりなら自分にもできるはずだ。
あらいざらい弱さ脆さを吐きだしてしまったあとの、おちつき場を得た心の底からすこしずつちからがわきあがってきた。それはもうごまかしではなかった、作りものでもなかった、真名女はそれでもなおよくそれをたしかめてから、はじめてふところ紙をとりだして両手をぬぐった、両の掌にはじっとりと膏汗がにじみ出ていたのである、それからしずかに座を立っておのれの居間へはいっていった。