Classici giapponesi con furigana
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にほんふどうき
日本婦道記
山本 周五郎
Leggi 日本婦道記 (にほんふどうき) di 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 15.091 caratteri · 30 schermate
「このあたりの子供たちに読み書きを教えたりしてまいりました」
「それが家を出るときの望みだったのですか」
そう云われてお石は眼を伏せた。平之丞は彼女の眉のあたりをじっとみつめていた。それからふとあらたまった調子でお石どのと呼びかけた。
「……私は五十歳、あなたも四十を越した、お互いにもう真実を告げ合ってもよい年ごろだと思う、お石どの、あなたはどうしてあのとき出ていったのか」
「…………」
「私があれほど欲し、母もねがったことを拒んだのは、ただこんなところに隠れて寺子屋の師となるためだったのか、お石どの、真実のことが聞きたい、聞かせて下さるだろうな」
夕風が立つのだろう、庭の老松に折おり蕭々の音がわたる。お石はその音を聞きすましでもするように、ながいあいだ黙って俯向いていたが、やがて内へひくような声つきでこう云った。
「……お石はあなたさまの妻にはなれない娘でした、どうしても、妻になってはいけなかったのです」
「それはどういうわけです」
「わたくしは鉄性院さま(忠善)のおいかりにふれ、重科を仰せつけられて死んだ者の子でございます」
「そんなことが」
「ありのままを申上げるのです、お石は小出小十郎のむすめでございました」