Classici giapponesi con furigana
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にほんふどうき
日本婦道記
山本 周五郎
Leggi 日本婦道記 (にほんふどうき) di 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 11.170 caratteri · 22 schermate
然しこうして始まった松山での生活も平穏な日は少なかった。それから五年のあいだ靱負は三度も病床に臥し、一度などは半年も寝たきりのことがあった。そのときおかやがどんなに頼みだったことだろう、彼女は依然として口が利けず、白痴のほうもその儘だったが、牧二郎の養育や家の内外の世話には申し分のない働きぶりをみせた。靱負の仕事を見覚えていたのだろう、彼がながく病臥したときなどは、止めるのも肯かず、自分で材料を取って来て内職をした。牧二郎の守をし、靱負の看病をし。炊事や薬煎じをする片手間で、……然もそれはさほど見劣りのしない出来であった。
「なんという皮肉だ」靱負はそのとき泣くような苦笑をうかべながら云った、「……会津を立つまえおまえの病が治ったら新沼から嫁に遣ろう、治らなかったら一生面倒をみてやる、おれはあのときそう云ったのを覚えている、それがどうだ、今では逆におれがおまえの世話になっているではないか、こんなことなら伴れて来るのではなかった、おまえにこんな苦労をさせるくらいなら」
おかやには主人の言葉がわかったろうか、彼女はやはりけらけらとただ笑うだけだった。