Classici giapponesi con furigana
ja-reading.com
Leggi i classici giapponesi online con furigana. Filtra per livello JLPT, tocca una parola per il significato e traduci una frase.
にっき
日記
宮本 百合子
Leggi 日記 (にっき) di 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 4692 caratteri · 10 schermate
なっている。
机の前に坐っていると、目に入るのは、六畳の方の窓からの外へ杉木立、夏雲、村の牛乳屋の細い煙突、二つ三つの藁屋根と、その傍にゆれている薄叢。その窓のある部屋のつき当りの壁いっぱいに大きい箪笥と、牡丹模様のついた新式長持とがはめこんだように並べられている。どっちにも紫の房が垂れて、いかにも若く初々しい花嫁の道具という風情である。
こういう若妻と生れて三ヵ月にならないくりくりした男の児とをお母さんの許へのこして、再度の出発をひかえている○は、自分たちの生活にもたらされている新鮮な愛情のために軽薄であり得なくなっている物腰で、義弟のそのような姿は私の心に様々の思いもおこさせる。
兄は良人である弟に度々たよりをおこたるな、と云ってよこしている。だけれども、妻である若いお嫁さんは、いつでも自由に手紙をかく時間をもっている日々の暮しだろうか。
それこれ考えながらそのお道具の紫の房を眺めていたが、○ちゃんの机というものが家のどこにもないことに心付いて、何か駭然とした。
こんなに道具や着物がそろえられてある。でも机は一つも持っていない。親たちも、こっちのお母さんも本人さえも其を怪しんでいない。