Classici giapponesi con furigana
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はえ
日輪 春は馬車に乗って 他八篇
横光 利一
Leggi 日輪 春は馬車に乗って 他八篇 (はえ) di 横光 利一 (よこみつりいち) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 6478 caratteri · 14 schermate
が、額から流れる汗は塩辛かった。
「馬車はもう出たかしら。」と娘は呟いた。
若者は荷物の下から、眼を細めて太陽を眺めると、
「ちょっと暑うなったな、まだじゃろう。」
二人は黙ってしまった。牛の鳴き声がした。
「知れたらどうしよう。」と娘はいうとちょっと泣きそうな顔をした。
種蓮華を叩く音だけが、幽かに足音のように追って来る。娘は後を向いて見て、それから若者の肩の荷物にまた手をかけた。
「私が持とう。もう肩が直ったえ。」
若者はやはり黙ってどしどしと歩き続けた。が、突然、「知れたらまた逃げるだけじゃ。」と呟いた。
五
宿場の場庭へ、母親に手を曳かれた男の子が指を銜えて這入って来た。
「お母ア、馬々。」
「ああ、馬々。」男の子は母親から手を振り切ると、厩の方へ馳けて来た。そうして二間ほど離れた場庭の中から馬を見ながら、「こりゃッ、こりゃッ。」と叫んで片足で地を打った。
馬は首を擡げて耳を立てた。男の子は馬の真似をして首を上げたが、耳が動かなかった。で、ただやたらに馬の前で顔を顰めると、再び、「こりゃッ、こりゃッ。」と叫んで地を打った。
馬は槽の手蔓に口をひっ掛けながら、またその中へ顔を隠して馬草を食った。