Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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きゅうぶんにほんばし

旧聞日本橋

長谷川 時雨

Leggi 旧聞日本橋 (きゅうぶんにほんばし) di 長谷川 時雨 (はせがわしぐれ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 158.045 caratteri · 322 schermate

Aozora Bunko

小船にはそういう設備がない。男の人は簡単にすませるが、といっても、まだ暮れきらない大川に、一ぱい船があってはそう勇敢な人ばかりはない。まして謹ましいその時代の女たちの困りようは察しられる。岸近い船はわたりをかけて、尾上河岸あたりのいきな家にたのむが、河心のはそうはいかない。気のきいた船頭が、幕や苫で囲いをして用をたさせると、まるで、源平両陣から那須与一の扇の的でも見るように、は入る人が代るたびごとにヤアヤアと囃す。人間て、なんて癪なものだと、いって見ればそんな風にアンポンタンは片腹痛かった。

「おや? この子は笑ったよ、何がおかしかったのだ。」

おじさんたちにはわからない。ちいさな、てんしんらんまんたる幼子だからこそ、赤ン坊でいえば虫が笑わせるといった笑い――この場合では嘲笑を禁じ得なかったのだ。

「ヤア爺さん!」

とかなんとか、笑った男が笑われて幕の囲いにはいり、テレくさそうに出てくるのだ。ばかな奴ら! その水で盃をそそぎ、その流れで手拭をしぼって頭や胸を拭く、三尺へだたれば清しなんて、いい気なものだ。

「玉や――」

みんなが口をあいて空を仰ぎ見る。だがなんと、暗い河の水の油のように重くぎらぎらすることぞ! 水面を見ると怖い。