Classici giapponesi con furigana
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きゅうぶんにほんばし
旧聞日本橋
長谷川 時雨
Leggi 旧聞日本橋 (きゅうぶんにほんばし) di 長谷川 時雨 (はせがわしぐれ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 158.045 caratteri · 322 schermate
アンポンタンは父親の膝を枕にしてボンヤリしていた。もう、そろそろ船が動きだした。あたしは大きくなってからもそうだが、賑やかなあとのさびしさがたまらなくきらいだった。ことに川開きは、空の火も家々の燈も、船の灯も、バタバタと消えて、即ちにして如法暗夜の沈黙がくるからたまらなく嫌だ。遠くの方へ流れてゆく小さなさびしい火影と三味線の音――小さい者は泣くにもなけない不思議なわびしさに閉じこめられてしまう。
そのまだ、それほど船がバラバラにならない前、すっと摺れちがった屋根船から、
「あら――さんだ!」
というと、これをお着せなさい、川風はさむいわとでもいったのであろう、艶な声がしてフワリと私の上に投りこまれたものは、軽いフワフワした薄綿のねんねこだった。多分帰りの夜風を用心して入れてきたものだろう。私はピョコンと父の膝から頭をあげた。先方は紅提燈が沢山ぶらさがっているので船の中はあかるい。私たちよりずっと高いところにいるように、膝の方まで見えた。意気な年増というのだろう、女ばかりがいた。みんなはでな声を出した。
あたしは終りの花火なんか、あとがさびしいから見ないで、そのねんねこにふっさりと包まれて父の膝に狸寝をしていた。