Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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はやみみさんじとりものききがき

早耳三次捕物聞書

林 不忘

Leggi 早耳三次捕物聞書 (はやみみさんじとりものききがき) di 林 不忘 (はやしふぼう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 10.050 caratteri · 20 schermate

Aozora Bunko

だから、冬期の投身自殺はよくよくのことで、死ぬのに嘘真個というのも変なものだが、これにはふとした一時の出来心や、見せつけてやろうという意地一方のものや、狂言なぞというのは絶えてありえない。それに、たいがいの投身者が、水へはいるまでは死ぬ気でいても、いよいよとなると苦しまぎれにいて助けを呼ぶのが普通だが、今この夜更けに、大川橋の上から身を躍らして濁流に浮いて行く者は、男か女かはわからなかったが、よほどの覚悟をきめているらしく、滔々たる水に身を任せて音一つ立てなかった。

抜手を切って泳ぎ着いた三次、心得があるから頓には近寄らない。瞳を凝らして見るとどうやら女らしい。海草のような黒髪が水に揺れて、手を振ったのは救助御無用というこころか。が、もとより、へえ、そうですか、と引っ返すわけにはゆかない。強く脚を煽って前に廻った三次、背中へ衝突って来るところを浅く水を潜って背後へ抜けた。神伝流で言う水枕、溺死人引揚げの奥の手だ。藁をも掴むというくらいだから真正面に向っては抱き付かれて同伴にされる。うしろへ引っ外しておいて、男なら水褌の結目へ手を掛けるのだが、これは女だから、三次、帯を押さえた。