Classici giapponesi con furigana
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めいじかいか あんごとりもの
明治開化 安吾捕物
Leggi 明治開化 安吾捕物 (めいじかいか あんごとりもの) di Sakaguchi Ango (坂口 安吾) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 30.755 caratteri · 62 schermate
「まちがいないわ」
どう探してもそれが見当らないと分ると、周信の顔色の変りよう、一気にして不安におののく野獣のような落着きのない挙動に変った。いっぺん積み込んだものを引きずり下して、全部改めてみたが、更に奥の部屋々々へ走り、政子に指図して、あれを倒し、これをひろげ、ひッくり返したり、まくってみたり、タタミが帳面のようにめくれるものなら、それすらもタンネンにめくりかねないほど気ちがいじみていた。
「畜生め! あれを盗んだのは誰だ。今に思い知らしてやる!」
ついに盗まれたと断定して、家の者全員を一室にカンキンして、家の中を全部しらべたが、どこからも目当ての物は出なかった。いッぺん調べた部屋も安心できないらしく、引返したり、走り去ったり、上を改め下をくぐり、邸内くまなく調べたが、ついになかった。全員の身体検査もムダであった。
「人に盗まれる筈のないものだと思うが、お前の記憶ちがいじゃないか」
こう云われて政子は気色ばみ、あわや兄妹の喧嘩になりかける形勢に、年功の周信、これはマズイと悟ったらしく、にわかに切りあげて、三人組は荷車と一しょに引き上げてしまったのである。