Classici giapponesi con furigana
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ほしじょろう
星女郎
泉 鏡花
Leggi 星女郎 (ほしじょろう) di 泉 鏡花 (いずみきょうか) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 52.344 caratteri · 104 schermate
涼しさが身に染みて、鐸か、声か、音か、蜩の、と聞き紛うまで恍惚となった。目前に、はたと落ちた雲のちぎれ、鼠色の五尺の霧、ひらひらと立って、袖擦れにはっと飛ぶ。
「わっ。」
と云って、境は驚駭の声を揚げた。
遮る樹立の楯もあらず、霜夜に凍てたもののごとく、山路へぬっくと立留まった、その一団の霧の中に、カラカラと鐸が鳴ったが、
「ほう――」
と梟のような声を発した。面赭黒く、牙白く、両の頬に胡桃を噛み破り、眼は大蛇の穴のごとく、額の幅約一尺にして、眉は栄螺を並べたよう。耳まで裂けた大口を開いて、上から境を睨め着けたが、
「これは、」
と云う時、かっしと片腕、肱を曲げて、その蟹の甲羅を面形に剥いで取った。
四十余りの総髪で、筋骨逞ましい一漢子、――またカラカラと鳴った――鐸の柄を片手に持換えながら、
「思いがけない処にござった。とんと心着きませんで、不調法。」
と一揖して、
「面です……はははは面でござる。」
と緒を手首に、可恐い顔は俯向けに、ぶらりと膝に飜ったが、鉄で鋳たらしいその厳さ。逞ましい漢の手にもずしりとする。
「お驚きでございましたろうで、恐縮でござります。