Classici giapponesi con furigana
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はる
春
岡本 かの子
Leggi 春 (はる) di 岡本 かの子 (おかもとかのこ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 23.864 caratteri · 48 schermate
京子はまた、妙につましかった。女中達にはおいしい肉のおかずをして遣って呉れと加奈子にねだりながら、自分は幾日でも白粥を喰べ続ける。白粥に青菜を細かく刻んでかけて喰べるのであるが、加奈子もそれにつき合わされる。体が弱るようで幾日も幾日もそれでは困ると言いながら、加奈子の美感は寧ろ京子の喰べるそのたべものの色彩なり、恬淡さを好んでも居る。そして加奈子はそっと京子の陰へ廻って肉や肴を喰べた。
――患者さんまだおやすみですか。ちと代りましょう。裏庭の方でも御覧になっていらっしゃいまし。
先刻ここへ京子と加奈子を連れて来て呉れた若い看護婦が入って来て言うのである。
――ええ、ありがとう。好いお天気ですね。
――ちっと気晴らしに庭でも御覧になっていらっしゃいませ。桜が咲いて居りますから。
加奈子は、表庭に一ぱい散って居た桜の花片を想い出した。
――では、ちょっとね。お願いしますわ。眼が醒めたら直ぐ知らして下さい、ね。
――はあ、かしこまりました。
京子を覗いて、よく寝入って居らっしゃいますこと、と看護婦が言って居る言葉をうしろに聞きながら加奈子は廊下へ出た。今まで居た室内とは同じ建物のうちかと怪しまれる古ぼけた廊下だ。