Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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はる

春

豊島 与志雄

Leggi 春 (はる) di 豊島 与志雄 (とよしまよしお) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 10.464 caratteri · 21 schermate

Aozora Bunko

「勝手にするがいいわ。あたしはキスを切り売りなんかしませんからね。好きな人にはただで許してやるわ。だけど、あなた方なんかには御免だわ。」

「こいつはお手酷しいね。まあそう云わないで、どうだい僕に一つ。」

「僕にも一つ。」

「俺にも一つ。」

「はははは。」

反応がなくて、手持無沙汰になって、出すぎた冗談が自分に戻ってきて、彼等は思い出したように杯を取り上げる。

「おい、お酌くらいはいいだろう。」

「はーい。」

ばかに大きな声を出して、お喜代は顔の筋肉一つ崩さないで銚子を取り上げる。

「君がそうして怒った顔は、また別な趣きがあるね。」

「まあー、お止しなさいよ。」

打つ真似をして、とうとう笑い出してしまう。それにつけこんで四方から、好奇な眼がぬうっと伸び出す。押しあいへしあい、前へ前へと出ようとしてる気色である。

「止せ、下らないことで一人の女をからかうのは。」

胸の鬱積が高まってきて、和田弁太郎は思わずわりこんでゆく。皆その方を振返る。で彼はぎくりとするのを、むりに踏みこたえる。

「キスくらいが何だい、下らない。」

一同の間にちらちらと目配せが行き渡る。

「ほう、和田にしちゃあ驚いたな。