Classici giapponesi con furigana
ja-reading.com
Leggi i classici giapponesi online con furigana. Filtra per livello JLPT, tocca una parola per il significato e traduci una frase.
はんしちとりものちょう
時代推理小説 半七捕物帳(三)
岡本 綺堂
Leggi 時代推理小説 半七捕物帳(三) (はんしちとりものちょう) di 岡本 綺堂 (おかもときどう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 201.612 caratteri · 405 schermate
その揮毫がなかなかはかどらないので、五、六日前にも千之丞はその催促に来た。しかしその催促以外に、なにかの意味でおげんが千之丞を嫌っていることを、澹山もうすうす覚っていた。
「くどくも云う通り、頼まれたお方が余人でないので、わたくしも等閑には存じません」と、澹山は飽くまでもまじめに云い出した。「しかし、どうも出来ないものは仕方がないので、まあ、まあ、幾たびでも描き直して、これなればと自分でも得心のまいるまで根よくやってみるよりほかはありません。お前様からもよくお父さんに取りなして置いてください。頼みます」
おげんは微笑みながらうなずいた。片明かりの行燈は男と女の影を障子に映して、枕の草子の作者でなくても、憎きものに数えたいような影法師が黒くゆらいでいた。庭で銀杏の散るおとが又きこえた。
「千之丞殿の伯父御は先殿様の追腹を切られたとかいいますが、それはほんとうのことですか」と、澹山は思い出したように訊いた。
「確かなことは存じませんが、それは嘘だとか聞きました」と、おげんは躊躇せずに答えた。「先殿様の御葬式がすむと間もなく、源太夫様もつづいてお亡くなりなすったので、世間では追腹などと申しますが、ほんとうは千之丞様の親御たちが寄りあつまって詰腹を切らせたのだとかいうことでござります」